先月と今月、2人の図書教諭の方に「先生のための音読教室」を開きました。お二人とも私立学校の先生で、お一人は教員歴およそ30年というベテランの方、もうお一人は大学を出て3年という若い女性でした。この方々が私に指導を依頼された理由ですが、まずベテランの先生は「今まで子どもたちに読み聞かせをしてきたが、自分のやり方が正しいのかどうかわからないから」というものでした。そして、若い先生は「低学年の児童に初めて読み聞かせをするのでプロに教えてもらって自信をつけたい」とのご依頼でした。
私は常々教育現場に音読をきちんと学んだ先生がおらず、そういう状況で子どもたちに本の読み方を指導されていることに疑問を抱いていましたので、喜んで個人レッスンをさせていただきました。
子どもたちに読み聞かせをするうえで、真っ先にイメージされることは、読み間違えず噛むことなく、きれいに最後まで読みきるというものではないでしょうか?もちろん大事です。でも、これが最重要項目ではありません。言いにくい単語は口をこうすればはっきり聞こえますよ、とか、この音の出し方は舌の位置を…と、細かく指導すればすぐに改善されます。しかし、大切なのはそこじゃありません。いかに深く子どもたちに作品を印象付けるか。物語の世界に入ってもらうか。10分あるいは15分という時間で児童たちに様々な感情を抱かせ、先生が読んでくれた本のことを、この読み聞かせのときの雰囲気とともに将来思い出してくれるような内容にすることが重要です。
私が先生に音読指導するときは、この目標を据えてマンツーマンレッスンを行っています。作品と目の前にいる子どもたち。読み聞かせの本番をしっかりとイメージしながらレッスンしていきます。自己満足で終わってはいけません。この場面でどんな表情を児童たちは見せてくれるかな?と想像しながら練習してください。そこはもう少し考える間が必要です。急いで次の言葉を読み始めていけません。悲しいときはこういう言い方になりますよね。というように、ページごと場面ごとに、より伝わる読み方にするコツをアドバイスします。技術ではなく、ハートです。本と自分だけの関係に決してならないように、愛情を持って内容を伝えることがどこまでできるか。練習を重ねると文章になれてしまい、ハートの部分が弱くなってしまうので、私は繰り返し読み込むことをすすめません。初めて作品を読んだときに感じた新鮮な気持ちをキープしたまま、鮮度を落とさずに子どもたちに読み聞かせをすることも大切です。
このようなことを学校に直接お伺いして指導させていただいています。読み聞かせに自信がないという方、また国語の音読指導で悩んでいるという先生は是非ご連絡ください。微力ながらもお手伝いさせていただきます。
お問い合わせ rodokugaku@gmail.com 大阪朗読楽