大阪府内で塾を経営されている男性から問い合わせがありました。
「新年度から、小学生対象に読み聞かせ・音読の指導をしたいと考えており、
読み方を教えてもらえないでしょうか?」
私は常々、読んだり話したりするのは誰にでも必要なのに、学校教育の現場で本を声に出して読むことや話し方を学ぶ機会が少なく、また、それらを指導できる人がいないことに疑問を抱いていました。そういった中で届いたメールでしたので、すぐに男性とお会いし、今後どのように塾で指導をしていきたいのかを詳しく伺ってきました。そして、来月から指導させていただくことになりました。
子どもたちに読むことを教えると3つのメリットがあると思います。まず、大きな声ではっきりと読む習慣ができると子どもたちに積極性が出てきます。思い出してください。小学生のときの国語の時間を。新たに学ぶ物語や詩を最初に声を出して読みますよね。「誰か読んでくれないか」と先生が言ったとき、いつも手をあげるのはクラスの優等生。ほとんどの子どもたちは、先生と目が合わないようにして体を小さくします。当然です。読み方を誰からも教わっていないのですから。自信がありません。そうして、6年間、手をあげて読む児童とそうでない子どもというふうに自然と分かれてしまいます。すごくもったいないと思いませんか?知らないうちに、自分は読むのが苦手だとか、人前で話せないと思い込んでしまう子どもが増えてしまうのです。読む機会を増やす。子どもたちにきちんと指導する。素晴らしいと褒める。これだけのことで、積極的な子どもたちがうんと増えると私は考えています。機会も教える人もいないという現状で、今後はどんどんと様々な場所へ出向き声に出して読む楽しさを広めていきたいと思っています。
子どもたちに読むことを教えるメリットの2つめは、感情表現が豊かになるという点です。アクセントがどうとか、発音・発声がどうだとかそんな細かいことはどうでもいいのです。ただ、作品の中にある喜怒哀楽を子どもたちにはその通りの感情を込めて読むことが重要だと考えています。嬉しい、楽しい、怖い、悲しい…。声に出して本を読むことで身につけた感情表現は、実生活でもきっと役に立つことでしょう。自分の感情をそのまま相手に伝える。何か問題にぶつかったときの心のモヤモヤをきっちりと外に出すことによって、小さな胸に複雑な感情を抱いたままにさせないことが必要だと思います。
子どもたちに読むことを教えるメリットの3つめは、伝わる喜びを知るという点です。本の内容を同級生たちに伝える。どうすれば伝わるのかを考え実践し、相手に届いたときの充実感をぜひ子どもたちには知ってもらいたいです。そうすれば、国語のみならず、他の教科でも自分の思ったことを発表できる児童が増えると思います。頭に浮かんだことをどう言葉にしていいのか、どのようにして伝えればいいのかを声に出して本を読むことで身につけていくのです。読むことと話すことは、密接に関係しています。
ざっと3つのメリットを紹介しましたが、まずは4月から塾で指導をして、私のアドバイスを受けた男性がどのようにそれを子どもたちに伝えていくのかとても楽しみです。熱心な方です。子どもたちに読む楽しさをたっぷりと伝えてくださるはずです。小学生のときに出会った作品、何度も読んだ作品は、きっと子どもたちにとって将来の財産となるでしょう。今後、学校への出前授業なども展開していきますので、関心のある方は、rodokugaku@gmail.com までお問い合わせください。